248. セミが鳴く夜

日中、雨が降り続いていたせいだろうか。

夜、日付が変わる時刻になっても、晴れの日の昼間のようにセミが鳴いていた。

「セミって、夜にこんなに鳴くものだったか・・・?」

昼ならまだしも、夜にそのペースで鳴かれると、なかなか眠れない。

「静かな夜を返してくれ、セミよ・・・」

なかば悲痛な思いで、庭の木で鳴くセミに祈りかける。

そうすると、思いが天に通じたのか、まもなくして大粒の雨が降り始めた。

「お、良い感じだ。セミも鳴き止んだかな?」

そう思い耳をすませてみると、どんどん雨が激しくなっていくにも関わらず、相変わらずセミは鳴いているようだった。

雷が雨のように落ちていく悪天候の中でも、懸命に鳴くセミたち。その姿は健気であり、「眠れないから静かにしてくれ」というのは失礼な気がしてきた。

そして、こうつぶやく。

「セミよ、その調子で昼も夜も元気に鳴いてくれ!」

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