236. 三度目の怪奇現象

夜中に目を覚ますと

夜中に、ふと目を覚ますことがある。

そして、身体が震え出したと思ったら、右の耳からゾワゾワと何かが抜けていく感覚が起こってくるのだ。

ゴゴゴ・・・というような音も部屋中から聞こえてくる。

そのとき、自分の右側には何か、あるいは誰かがいるような気配がはっきりとしている。

恐怖と必死の抵抗

最初はよくわからずにボーッと天井を見ているのだが、次第に「このままだと死ぬんじゃないか!?」という恐怖が膨らんできて、必死の抵抗を始める。

寝起きなので声がかすれて出ないのに、頑張って大声を上げようとする。頭に浮かんできた歌を歌おうとする。

当然ながら、最初の内は全く声が出てこない。

それでもめげずに繰り返していると、だんだんと「かすれ声」が出てくるようになる。

このころになると、歌うより単純に叫んだ方が早いと気づく。そして「ウワー、ワー、ワー」と出しやすい音を出し始める。

そうすると、耳から何かが抜ける感覚は消え、音もパタッと止むのだ。

次は静観してみるか

こういうことが、この2ヶ月くらいで3度あった。

これが何を意味するのかは、今のところ分からない。

声を出すという抵抗をやめて流れに身を任せたら、つまり耳から何かが完全に抜けるのをただ待ってみたら、どうなるだろうか。

その現象が起こるのはいつも突然なので、びっくりして暴れてしまうが、今度同じことが起きたら、試しに静観してみようかと思う。

耳から抜けているのが魂だとしたら、その時は生還できるかどうかはわからないが。

あの世からの誘い?

ここで、少し怖い話をしておこう。苦手な方は読まれないことをオススメする。

3度目に「耳がゾワゾワ現象」が起きる直前のことだ。

そのとき自分はおそらく夢を見ており、夢の中で誰かと楽しく踊っていた。

不思議なもので相手の姿はよく見えず、声も聞こえない。

しかし、相手が何か言うと、その内容は理解できる。音ではなくてイメージがこちらに飛んで来るような感じだった。

それで相手が何を伝えてきたかと言うと、「さっきの踊りは楽しかったね。続きはあっち(あの世のことか?)でやろう」。

記憶は少しおぼろげだが、ざっとまあこんな感じだった。

こういう声かけがあったら、たぶん答えてはいけないのだろう。

平生(いつも通り)の自分ならば、そんなことは容易に理解できていたはずだ。

しかしそのときは、夢の中だったので意志が明瞭でなかった。さらに知らない誰かと踊った踊りも楽しく、心惹かれていたために、つい「うん」とうなずいてしまったのだ。

その瞬間、パッと場面が自分の部屋の中に切り替わり(目を覚ましたのだろうか)、耳からゾワゾワと何かが抜けていく感覚が始まった。

これが3度目、つまり今のところ最後に「耳がゾワゾワ現象」を体験したときの流れである。

おわりに

正直なところ、1度目と2度目のときにどういう流れでそうなったかはよく覚えていない。

しかし、こういう現象を体験し始める少し前に、「平家落人の里」とその奥にある滝を訪れていたので、それが関係しているかもしれない。

これらの情報を総合して考えてみると、「耳がゾワゾワ現象」はけっこう危険な気がする。

3度目の場合は、確実にあの世へ引き込まれかけていたと思う。

果たして本当にあの世があるのか、あるとすればいったいどんな感じなのかを見られるというのは何とも興味深い話だが、

それっきりこの世に帰ってこられないとしたら、それはそれで惜しい気もする。

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