175. 「恋しい季節」

ふいに湧きあがってきた思いを綴ってみました。

「恋しい季節」  作 おぬま

夏が好きだ。
あの日射し、あの喧騒、あの輝き。

夜になると、昼間の騒々しさとは打ってかわって、
かえるの大合唱、虫のさざめき。
暑かった日中がうそのように涼しい風。
風呂上がりに縁側でのんびりするのは、最高に気分がいい。


夏といえば、セミだ。
私はセミが好きだ、というより、セミの鳴き声が好きだ。
その鳴き声には、毎年二度感動する。

一度目は、夏が始まるとき。
熱く光る季節の訪れに、胸は高鳴る。

夏はまるで、お祭りのようだ。その中でもセミは、ひときわ輝く主役だ。
アブラゼミ、ミンミンゼミ、クマゼミ、ツクツクボウシ、と、役者はそろっている。

みな、今を限りといのちがけで歌い続ける。

二度目の感動は、夏が終わるときに訪れる。
もはや当たり前のように聞き慣れていた、セミたちの声が少しずつ弱まっていき、
生き急ぐようなツクツクボウシの声だけが、やけに耳に残る晩夏。

秋が近づいてくると、ヒグラシの鳴き声が際立つ。
その哀愁漂う声に、過ぎ去ってゆく夏への慕情が募る。


私は夏に生まれた。

冬が遠い異郷の地だとすれば、春や秋はその旅路、
そして夏は私の生まれ育った故郷である。

何がなくとも、夏になると気力がみなぎってくる。
やってやろう、という気持ちが、もりもりと湧き上がる。

そんな夏に、もうすぐ会える。


注釈: ・地域によってはセミの鳴き始める時期や、セミの種類が異なる場合があります。

    ・都会の方になると、夜にカエルの大合唱や虫のさざめきが聞こえないことがあるようです。

    ・ヒグラシは夏の初めから鳴いているようですが、
     ここでは「秋が近づくと特にその鳴き声が際立つ」と言っていることに注意。
     →勘違いしているわけではありませんよ~ということです(^^)/

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2件の返信

    • コメントいただき、ありがとうございます!

      そう言っていただけて嬉しいです(^^)/

      これからもよろしくお願いします。

      Thank you for your comment!

      I’m glad you said so (^^)/

      Please still have enjoying my blog.

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