131. 1泊2日と、あと1日<2日目②>

くまモンの部屋でぐっすり昼寝をしたおぬまたち。気がつけば夜になっていたので、おぬまとしももんは「おむらいす亭」に向かうべく部屋を出ます。ところがそこには、思いもよらぬ事態が待ち受けていました・・・

よく寝たな―

・・・・・・

(どれくらい時間が経ったのだろう。)

(外が暗くなっているな・・・)

僕は寝ぼけた頭で部屋の中を見渡しました。

時計を見ると、18時を過ぎており、

横になったのが14時頃だったことを考えると、かれこれ4時間近く寝ていたことになります。

「よく寝たな―」と思いながらベッドから降りると、しももんとくまモンも目を覚ましました。

ちょっとのんびりしてから、「晩ごはんどうする?」「おむらいす亭行かん?」

学研都市のイオンに、「おむらいす亭」というお店があり、

少し高そうでしたがおむらいすや肉が美味しそうでした。

それに、ライスやサラダ、カレーが食べ放題のようで、

空腹だった僕は「いいね、そこにしよう!」

自炊するんやで―

夕食の会場も決まったので、「じゃあまたねー」「くまモン、自炊するんやでー」

と、僕たちはくまモンの部屋を出ました。

(今思ったんですが、「自炊するんやでー」といわず一緒におむらいす亭行ってもよかったような・・・笑)

このときはまだ、「何頼もうかなー」くらいしか考えていませんでした。

いわば、心が楽しい状態でした。

数分後、この状況が一変するような事件が起こるとは知らずに・・・

自転車があああ!

エレベーターで1階に降りた、おぬまとしももん。

僕たちはバイトや大学のことで談笑しながら、奥の駐車場へと歩いていきました。

「もう暗いねー」「お腹すいたー」

何気なく自転車に近づき、前輪にかけていた赤い鍵を外し、

ヘルメットをかぶってライトを点灯。

そして自転車を後ろに引こうとしましたが、何かが「ガリガリ」と音を立てており、車輪がうまく動きませんでした。

「あれ?」

暗くてよく見えなかったので、ライトを手に持って後輪を見てみると・・・

「あああ! 鍵がかけられてる!!」

最初はいたずらかと思いましたが、鍵に「違法駐輪 解錠有料 いい管理XXX-XXXX-XXXX」というシールが貼ってありました。

「なにが『いい管理』だよ!」と思いましたが今はそれどころではありません。

とりあえずしももんの勧めでくまモンにLINE電話をかけ、状況を説明しました。「止めて大丈夫って言ってた駐輪場で、違反の鍵かけられてるんだけど」

くまモンは「え、まじで? まじで・・・まじか・・・」ととても驚いている様子でした。

くまモンによると、以前別の友だちが遊びに来たときは、同じ駐輪場に止めていても違反の鍵はかけられていなかったようです。

「運が悪かったのか・・・?」

すでに年末年始休みに入っていた

「とりあえず『いい管理』に電話してみたら」というしももんのアドバイスで我に返り、ナンバーをプッシュ。

ところが、

「お電話ありがとうございます。まことに申し訳ございませんが、12月28日から1月4日までお休みとなっております・・・」

というアナウンスが流れるだけでした。

「ええ!? 今日は12月28日、昨日が27日か・・・そんな、年末年始休み直前に鍵かけるなんてひどすぎるよ!」

これは1月5日まで自転車の鍵を外せないということなのか。それとも、まだ何か手があるのか・・・

もし「いい管理」のお休みが明けるまで鍵を開けてもらえないのだとしたら、

それまで屋根のない駐輪場で大事な自転車を雨風にさらすことになります。

運命やいかに

「そんな・・・いったいどうすれば・・・」

さっきまで3人で共に過ごしていた、暖かい部屋。

それがまるで夢であったかのように、今はただ寒空の下に「いい管理」に囚われた自転車と、おぬまとしももんとが茫然と立ち尽くすのみでした。

(つづく)

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