115. 奇怪なおくりもの

今朝、朝ごはんを作っているとインターホンが鳴った。

「はい」
「あ、ブチッ」

おぬまが今住んでいるマンションは、エントランスのオートロックを開錠すると、インターホンの画面が切れてしまう。

なので、見た目からして宅配員だろうとは思ったが、「あ、」の後に何を言おうとしていたのかはわからなかった。

すぐ来るだろうと思って、玄関のドアを開けて待っていたが、なかなか来ない。

寒いのでとりあえずドアを閉めて待っていた。

その後、10分ほど何の音沙汰もなかった。

隣の部屋や上の部屋で、ドタバタ走る音が聞こえていたので、すべての届け先にまとめてピンポンしてから届けるつもりなのだろう。

作りかけの料理が冷めてしまうので、火力を強めて温めることにした。

と、そのとき、「ピンポーン」と玄関のインターホンが鳴った。

「やっと来たか」

ドアを開けると、顔ににやけた笑いを浮かべた宅配員がそこにいた。

「〇〇様ですか?」
「いや、おぬまですけど」
「え・・・? でも住所はここになっている」
「えー」

宅配された荷物は、パンパースのおむつだった。特大サイズの。

送り状を見せてもらうと、確かに送り先住所はここになっていたが、名前が違った。さらに送り元も、見知らぬ北国の住人だった。

9月におぬまが入居する1ヶ月ほど前に出ていった人がいるので、たぶんその人だろう。

入居以来、おぬまは「何でこんないい部屋を出て行ったんだろう」と疑問に思っていた。もしかしたら騒音とか幽霊とか、何かあるんじゃないか。

しかし、目の前にある「パンパースのおむつ」によって、今その疑念は解消された。

「なるほど、そうだったのか・・・」

おぬまが住んでいるマンションは一人暮らし専用で、同居は禁止となっていた。

前に住んでいた人は、結婚して子供が生まれたか、あるいはできちゃった婚か、とにかく子供ができたために転居していったにちがいない。

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