100. おぬまの日々 vol.4

2021年11月7日、日曜日。

昼過ぎまで自動車学校に行き、帰り道に焼き鳥を買って家に戻ったおぬま。

この日、夕方の18時半から友人の しももん(九大工学部1年) と一緒に中華料理を食べる予定になっていた。

ところが15時過ぎに帰宅したおぬまは、「これから夕方まで何しよう」と時間を持て余した。

とりあえず しももん に「これから夕食まで、何か予定ある?」とLINE。すると、「ないない。今音楽聞いてるだけやし」という返答。

同様に、おぬまも音楽を聴いているだけだった。

そこでおぬまは、「今度行くことになってたけど、今からカラオケ行っちゃう?」と提案してみた。

カラオケへGO!

しももん からはすぐに「OK」と返ってきた。

そして、16時半に集合することに決まった。おぬまはいつもと違って、すぐに家を出た。

道も混んでいなかったので、16時10分ごろには学研都市駅前の「コロッケ俱楽部」に到着。しももんにLINEすると「はや」と驚いていた。

おぬまは「コロッケ倶楽部の前の花壇のところで待ってる」とLINEしたが、後でもう一度見てみるとそこに花はなく、草しか植えられていなかった。

草しか植えられていない花壇は、花壇なのか?

おぬまはちょっと考え込んだ。

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しばらくして「今から出る」というLINEが しももん から来たが、そのあとすぐに しももん はおぬまの目の前に現れた。

「はや」

しももんは、学研都市駅のすぐ近くに住んでいるのだという。

駅の近くは、家賃など高いのではなかろうか?

おぬまの家は、どこの駅からも微妙に離れているので、そのぶん家賃は少し抑えられている。

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実は、この日が しももん と初めて対面で会う日だった。

最初に会ったのは、「基幹教育セミナー」という大学の授業。オンライン授業だったので、画面越しの会話しか交わしていなかった。

ただ、おぬまが授業中に紹介した「スマホ脳」という本に しももん が興味を持ってくれたらしく、2回目の基幹教育セミナーで「おぬまくん、これ買ったよ~『スマホ脳』」と言ってきてくれたのが印象に残っていた。

それからしばらくしてメールアドレスを交換し、その後LINEも交換した。

LINEではそこそこ話していたが、実際会ってみると「なんか違う」という感じになるのではないか、という不安も少しあった。

だが、LINEやメールで話した時に受けた印象とそこまで変わらず、二人は自然と会話を始めることができた。

おぬまのオレンジ色の自転車をカラオケの駐輪場に停めて、店内へ。

「満員やったらどうする?」と しももん がふざけて言ったが、受付に行ってみると、「申し訳ございません。ただいま満室でして」

「本当に満員だったとは」

おぬまたちは15分待った。

その間、2人でいろいろと話した。お互いが打ち解け合うためにも、この15分間は必要だったのではないかと今では思う。

歌い、踊った3時間

やがて15分経ち、おぬまたちは部屋へと案内された。

部屋に入ってみると、「うお、佐賀のまねきねこより広いじゃん!」
「まねきねこか、おれの地元にもあったわ」

しももんは、兵庫出身。お父さんが大阪生まれ大阪育ちらしい。もちろん、しももんも関西弁をしゃべっていた。

ところで、なぜ「しももん」なのかというと、この友人の苗字と「くまモン」を掛け合わせたあだ名らしい。

さて、カラオケの部屋に入るとまず、おぬまはトイレに行った。

最近、トイレが近い。

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トイレを済ませて部屋に戻るとしももんがこちらを見て、「赤いスイートピー歌ってくれへん?」

おぬまはリクエストに応えて赤いスイートピーを歌い始めたが、久しぶりのカラオケだったので思うように歌えなかった。

しかし、2曲目の「ごめんよ涙」(田原俊彦)からは、いつもの調子を取り戻して思う存分歌い、踊った。

ただ、あまりに激しく踊りすぎて、水がこぼれた床(こぼしたのはおぬま)ですべってこけそうになった。

すべって勢いよく背中と後頭部をぶつけてから、おぬまはちょっと控えめに踊ることにした。

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しももんはGReeeeNの「キセキ」や尾崎豊の「OH MY LITTLE GIRL」、サザンオールスターズの「TSUNAMI」など少しジーンとくる歌を多く歌っていた。ほかに、嵐やSMAPなどのジャニーズ系の歌も歌っていた。

一方おぬまの方は、田原俊彦・松田聖子・近藤真彦・中森明菜をはじめとして布施明・安全地帯・尾崎豊・サザンオールスターズなど主に昭和の歌を歌った。

しももんは「おぬま、ビブラートやばいな」とびっくりしていた。おぬまが「一時期ビブラートにハマってた時期があってね、その時練習したんよ」と言うと、「ビブラートにハマるってどういうこと(笑)」と笑っていた。

途中、しももんのリクエストで石井明美という歌手の「CHA-CHA-CHA」という歌を歌った。

曲名だけは「ザ・ベストテン」などの歌番組で見て知っていたが、中身まではよく知らなかった。

1度スマホで聴いた後で歌ったが、知らない歌をいきなり歌うというのはどうも難しい。

やはり、ちゃんと歌うためにはしっかり聴きこんでおかなければならないのだな、と感じた。

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その後、おぬまが歌っている最中に「残り10分です」という電話が来た。そのあとしももんが一曲歌い、ラスト一曲はおぬまの番だった。

今思い出すと、最初の1曲もおぬまだったのにラストもおぬまが歌ってしまったことになる。が、しももんは別に気にしていない様子だった。

最後の一曲は「HA-HA-HAPPY」。田原俊彦のニューシングル(2021年)である。

「言わせて 誇らしく 君がいるだけで最高!」

満を持して、中華料理店へ

さて、カラオケを出ると、外はもう真っ暗。

2人とも、お腹が空いてた。

かねてからの約束通り、中華料理を食べに行くことに。

学研都市駅の近くに「金竜」というお店がある。そのあたり一帯が飲食店通りになっており、なんだかおぬまの家の近くに似ている感じがした。

「金竜」に入ると、壁一面にマンガがびっしり置いてあった。「おお~」と少し驚いたが、空腹でそれどころではない。

時間は20時前。お店は空いていた。

とりあえず席に座り注文を済ませると、おぬまは「ちょっとトイレへ」

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おぬまの注文はとんこつラーメン・まぜめしセット(まぜめし+餃子3個)。

しももんの注文は尾道ラーメン・チャーハン・餃子5個。

おぬまがトイレから戻ってくると、まずおぬまのまぜめしが来た。

しももんと一緒のタイミングで食べ始めたかったおぬまは、他の料理が来るまでまぜめしを混ぜ続けた。

まぜめしは、豚挽き肉やネギ、油などが使ってあった。

そのうちラーメンや餃子が来る。二人はほぼ同時に食べ始めた。

「うん。おいしいね」

2人はうなずき合う。それぞれ、チャーハンとまぜめしをパクついていた。(ラーメンではなく笑)

ラーメンももちろん美味しかった。しかし、他の料理に夢中になっているうちに麺が伸びてしまった(汗)

注文をしたときはすごく空腹だったので、全部楽々と食べきれるものだと思っていた。

しかし、途中から料理が意外と多いことに気づき、「結構お腹いっぱいなってきたわー」「食べきれるかねえ」

・・・結局、何とか食べきってお店を後にした。

どのティッシュがお得か

「金竜」を出た後、しももんが「ティッシュとウェアを買いたい」と言うので、2人で学研都市のイオンに行った。

しかし入店してすぐに21時になり、お店が閉まってしまったのでウェアは買えなくなった。

「しゃあないからティッシュだけ買うわー」

そして生活用品売り場へ。そこはまだ開いていた。

しももんは色々なティッシュを前にして「これは1枚2.9円、これは150組で300円か―。150組って実質150枚やし・・・」と慎重に吟味。

おぬまは、「ついでだから僕も買っとくか」と、上の段にあった値札のないティッシュを手に取った。それは、150組のティッシュが10パック入っている商品だった。

「これいくらなんだろ」「予想し合おうや」

しももんは398円と予想した。おぬまは420円。

レジを通すまで値段がわからず、おぬまはドキドキだった。

そして「いらっしゃいませー。<ピッ>492円でーす」

「たかっ」

それぞれの予想は、見事に外れた。

またなー

ティッシュを買ったことで用事が済んだので、2人はイオンを出た。

しばらく一緒に歩いていたが、やがて別れ道に差しかかった。

「じゃあ、またね」「またなー」

おぬまと しももん は、真逆の方へと向かっていった。

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10分ほど自転車を漕いで、家に帰りついたおぬま。

すぐにお風呂のお湯をためて、浴室に向かった。

まだ高揚感が冷めきらない中、「今夜は踊り明かしますかー!!」と妙にハイテンションで踊っていたが、

手をグルグルと振り回したときに、お風呂の入り口で手の爪を強打。

「いっててて・・・わかったよ、今日はもう、寝るよ・・・」

おぬまはお風呂を上がると、何かに諭されるようにして布団にもぐりこんだ。

部屋中に下げられた洗濯物たちが、眠るおぬまを優しく見守っていた。

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