こんにちは! おぬまです。
前編をお読みになった方の中には「これで完結じゃないの? これ以上何が起こるというの?」と疑問に思われた方もいるかもしれません。僕も正直、「あとは雨の中家まで帰るだけだなー」ぐらいにしか思っていませんでした。
しかし、世の中そう甘くはなかったようです。
波乱万丈の帰還劇が、ここから始まります。
「木曽路」を出てから
「木曽路」を出てから、雨が急に強くなりました。それはそれで気がかりではあったのですが、一番気になったのは”トイレ”でした。お店で緑茶やサイダーを飲みすぎたせいか、食事中2回ほどトイレに行き、店を出る前にも行ったにもかかわらず、店を出て10分くらいでめちゃくちゃトイレに行きたくなりました。
雨宿りをしたいと思ったときに「木曽路」に辿り着くまでにほとんど店がなかったということは、つまり帰り道になかなかトイレがないということ。10分くらい下半身の痛みを我慢しながら漕ぎ続けていると、なんとかファミリーマート(カッパを買った店とは別の店)が見つかったので、そこでトイレを済ませることにしました。
雨が土砂降りに変わって来ていて、カッパを脱いだらカッパの中身まで濡れてしまいそうだったので、着たままでトイレに入ることにしました。ついでにヘルメットも脱いで自転車にかけて置いたらずぶ濡れになるのは目に見えていたので、かぶったまま店内に入りました。(絶対に他のお客さんから変なやつだと思われたという自信があります)
トイレ自体は無事に済んだのですが、店を出る時に狭い通路でおじいさんとすれ違い、ギリギリすれ違えたと思って振り向いたらおじいさんの服の一部が不自然に濡れていました。「うわ、濡らしちゃった」と思いましたが、向こうはあまり気づいてなさそうだったので、軽く頭を下げて足早に店を出ました。
これで事は済んだかと思っていたのですが、しかしそれからさらに5分ほどして、またもやトイレに行きたくなってきました。
見渡したところ、しばらくはお店がないように思えました。しかしあのファミマに戻るのは気が引けます。「仕方がない、もう少し漕いでみるか」と思い、歌でも歌いながら漕ぎ始めたその時!
「ガタン」と自転車の後輪が揺れて、変だなと思いながらも漕ぎ続けていたところ、ぐらぐら車体が揺れ出し、うまく走れなくなりました。まさかと思って自転車を止めて後輪を点検してみると、やはりパンクしていました・・・・(泣)
㊗初パンク!!
地獄に仏
自転車がパンクしたために、歩くしかなくなりました。しかし尿意はもう限界値まで高まっています。しかもものすごい勢いで雨が降り続く中・・・。
この世の終わりかと諦めかけていましたが(なにを?)、15分ほど歩くと遠くにうっすら「自転車 あさひ」という看板が。こ、これは、パンク修理もトイレも一気に済ませられる夢の店・・・!!
4車線くらいの国道を挟んだ向こう側にあったので、なかなか渡れず「見えてるのに!」という状態がしばらく続きましたが、どうにか手遅れになる前にあさひに到着。自転車がパンクした旨を伝えて自転車を店員さんに渡すと、「トイレ借りていいですか?」と言ってダッシュでトイレに駆け込みました。(ファミマの時と同じくカッパとヘルメットを装着したまま駆け込みましたが、あさひの店内ではあまり奇異には映らなかったようです)
あさひを見つけたとき、地獄に仏と思いましたが、トイレを出て自転車のところに行くと「お客様、自転車のお渡しは20時直前(閉店間際)となりますがよろしいでしょうか?」・・・よろしくはないけど、「はい、大丈夫です」と答える以外に選択肢がない・・・
その時の時刻は19時10分くらい。しばらく店内の自転車を眺めながら待っていると、けっこう閉店間際に駆け込むお客さんが多いことがわかりました。
真っ暗闇のなか
自転車のパンク修理が終わり、代金1050円を払って店を出ると外はもう真っ暗。時刻は19:50。雨が降っていたので、空はすでに闇に包まれていました。
自転車に乗って漕ぎ始めると、「ギア重すぎ!」
メーターを見るとギアが最大にされていました。いや普通、ギア最小にはするけど最大にはしないだろ・・・
とりあえずそれは置いといて、さてこの真っ暗闇の中どうやって帰るか。都市高速沿いの道だったので、市街地に比べると明かりは少なく、そして次第に雨が土砂降りに変わって来ていたために、視界は極端に制限されていました。
そのときは眼鏡をつけていたので、雨粒がレンズ表面を覆ってしまい、本当に何も見えない状態でした。(車の光だけはぼんやりと見えた)拭っても拭ってもすぐに濡れてしまい、きりがありません。
道が狭く、自転車同士がすれ違う余地はなさそうでした。なので、もし向こう側から自転車を飛ばしてくる人がいたら、避けることはできずぶつかるしかなかったと思います。
幸いそのような事態は起こりませんでしたが、そのときは「いつ対向車とぶつかるか?」と体を硬くしていました。たまたま前日にあさひで買っていた800ルーメンの明るさを持つライト(公道を走る際に満たさなければならない明るさは200ルーメン以上なので、約4倍の明るさ)だけが頼りでした。
「早くこの狭い道を抜けたい」と思い、土砂降りの中右折してちょっと広い道に出ました。しかし知らない道だったため迷ってしまい、いつの間にか明かりの少ない住宅街に入り込んでいました。
「めっちゃ暗い、こわい、どうしよう!」
僕はもう混乱していました。とにかく知っている道に出たいけど、どこを通ればいいかがわからない。しかも、雨のせいかGoogle Mapも正常に作動しなくなっていました。(ナビの指示通りに行くと逆方向だったりした)
時刻は20:30。「何でこんな遅い時間にこんなところをうろついているんだ」としばらく茫然としていましたが、よく考えると、いつもバイトは20:00に終わるので、これくらいの時間に自転車を漕ぐことは別に珍しいことではありません。
そのことに気づくと、だんだんと心が落ち着いてきて、きちんと考えることができるようになりました。ふと辺りを見渡すと、「あ! この前12キロ近く歩いたときに通った道じゃん!」と気がつきました。
いつ何がどこで役に立つかわからない。だから、いろいろとやっておくことでいつか何か他のことに生かせるんだなー、と実感しました。
無事帰還
それからは比較的スムーズに進むことができ、迷うこともなく家に辿り着くことができました。
時計を見るとちょうど21:00になるか、ならないかというところでした。
今日は13:30に家を出たので、食事の時間を1時間前後、あさひの滞在時間を30分としておよそ6時間も移動を続けたことになります。そして、土砂降りの雨という悪条件。これがなければもう少し快適な旅だったんだろうな、と思いました。
家のガレージに帰りつき、自転車を止めてカバンを開けると、何と未開封の水が一本、出てきました。今日は1本しか水を持っていっていなかったので、つまりお店で出された緑茶やサイダー以外、何も飲まずに6時間くらい漕ぎ続けたことになります。
その事実を知って僕は愕然としました。よく生きて帰ってこれたな、と。以前佐賀まで山を越えて7時間くらいかけて行った時も、口にしたのは「クリーム玄米ブラン」と「ブラックモンブランアイス」だけ。水はけっこうたくさん飲んでいましたが、食べ物を全然摂っていませんでした。あとでバイト先の人たちに「それ一歩間違えたらぶっ倒れてるやつだよ」と言われました。
僕には「補給」とか「休憩」の概念が希薄なのかもしれません。勉強や読書、ゲームも熱中したら何時間も続けてしまい、その間水分補給や目を休めることを忘れてしまうことが多々あります。
もう少し、その辺を気をつけていこうと思いました。(旅に出る時は水や補給食を多めに持っていってこまめに口に入れたり、パソコン作業や読書、運動をするときは30分などで区切って休憩を入れたりなど)
とにかく、この日は「自動車学校に行く」ことが目的だったのに、気がついたら「木曽路」でディナーを食べていて、そして自転車がパンクしたり夜の街をさまよったりなど、なかなかにハチャメチャな一日だったな、と思います。家に帰ったらすぐに眠りにつきました。
次はどこに行こうかなあ・・・(笑)
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